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へちまが日本に渡来したのは室町時代頃といわれています。 古来よりお化粧は行われていましたが、現在のように庶民の間でお化粧することが一般的になったのは江戸時代後期です。 文化と経済が発展した大都市だった江戸で、ガラス瓶に詰めたへちま水が売られ流行したという記録があります。 江戸時代以降、へちま水は「江戸の水」「美人水」「花の露」などのネーミングで広く一般に知られるようになりました。 現代に至るまで廃れることなく多くの女性に愛されている理由とは一体なんなのでしょうか。
現代のように化粧品やスキンケア用品が市販されていない時代には、米ぬか、椿油、うぐいすの糞、そしてへちま水といった身近にある天然のものを利用してスキンケアを行っていました。 へちまのつるの切り口から浸み出てくる水分を「へちま水」と呼び、そのまま飲み薬として飲んだり、あせもやひびの薬として患部に塗布したり、化粧水として利用しました。。 このように、へちま水には先人の知恵が詰まっているのです。
へちま水には、肌の表面をなめらかにしてキメを整えてくれるパワーが期待できます。 江戸時代の人々がへちま水に含まれる成分について詳しく理解していかどうかは定かではありませんが、経験的に「美肌に役立ってくれる」ということが分かっていたのでしょう。 へちまの根に近い部分から染み出てくる水分の中には、さまざまな美容成分がが含まれていると言われています。 例えば、ヘチマサポニンには日焼けをし火照った肌を整える働きがあるといわれています。 また、ペクチンは肌にうるおいを与えてくれます。 さらに、へちま水は普通の水に比べて水の構造単位が小さいため、より肌に浸透しやすいと考えられます。
へちまを栽培することから始めれば、究極の自然派化粧水を作ることができます。 へちまは園芸初心者でも比較的簡単に育てることが可能です。 成長が旺盛なので庭植えが好ましいですが、野菜栽培用の深いプランターがあれば十分に栽培することができます。 種から育てることもできますが、園芸店などでポット苗を手に入れるとより簡単に育ちます。 へちまは真夏の日差しを遮るためのグリーンカーテンとして利用する、実を食用にする、へちまタワシを 作ることもできます。 へちま水の作り方は簡単です。 9月上旬~中旬頃に根本から50cm~80cmくらいの部分で茎を切って、根本側の茎をよく洗った瓶やペットボトルに挿してしみ出てきた水分をとります。 瓶やペットボトルの口に脱脂綿を詰めテープで巻いて、虫やごみが入るのを防ぎましょう。 作業を行う時間帯は夕方から夜にかけてで、翌朝にたまった水を採取して涼しい場所に移して保管します。 古来から中秋の名月の日に、この作業を行ってきたと言い伝えられています。 化粧水として使用するには採取した「へちま水」を、さらしなどを使ってろ過した後、保湿効果を高めるグリセリンや保存のためにエタノールを加えると便利です。 どちらもドラッグストアなどで購入できます。 夏にむけて、へちまを栽培し賢く利用してみてはいかがでしょうか。